インターネット広告が過去最高に ― 2024年の広告市場から見える変化と今後の展望

2024年2月27日、株式会社電通が発表した「2024年 日本の広告費」によると、日本のインターネット広告費は3兆6517億円と過去最高を記録しました。前年比109.6%で3187億円の増加、日本の総広告費全体の47.6%を占めるまでに成長しています。これはインターネット広告が、すでにマス広告に匹敵するか、それ以上の影響力を持っていることを示しています。

なぜここまで成長しているのか?

この成長には、以下のような要因が関係しています:

  • 生活者のオンライン化の加速
    SNSや動画視聴、検索・購買活動がすべてインターネット上で完結する時代となり、広告の接点もオンラインに集中。
  • 広告手法の進化
    広告配信はAIによる自動最適化、パーソナライズ、リターゲティングなど、より高度かつ効率的に。
  • 誰でも広告を出せる環境
    少額から始められるGoogle広告、Instagram・LINE広告などが浸透し、中小企業や個人事業主も参入。

今後、どんな広告がより効果を発揮するのか?

広告の競争が激化する中で、今後は「共感」と「信頼性」、「体験価値」がカギになります。以下に、今後特に効果が見込まれる広告の方向性をご提案します。

1. ショート動画広告(例:YouTube Shorts、Instagramリール、TikTok

  • スキップされにくい短尺コンテンツ
  • ユーザーの「ながら視聴」に最適
  • 顔が見えるコンテンツや、裏側を見せる構成で親近感を得やすい

2. UGC(ユーザー生成コンテンツ)活用型広告

  • 顧客自身が使っている様子やレビュー動画を広告として展開
  • “企業発信ではない”ことが信頼につながりやすい
  • 特に20代~30代のZ世代に響きやすい

3. 地域密着型広告とローカルターゲティング

  • 地域キーワードやGPS連動で配信を最適化
  • 小商圏での集客やイベント告知に効果大
  • 地元メディアとのコラボ広告も注目

4. LINE広告やチャット型広告

  • 日本国内でのユーザー数が多く、幅広い世代にリーチ可能
  • チャットボットやクーポン配布と連携すればコンバージョン率UP

5. AI生成コンテンツ広告

  • キャッチコピーや画像、動画を生成AIで作成することで、PDCAのスピードが劇的に向上
  • 特に少人数の企業にとっては大きな武器となる

広告は“情報”から“体験”

インターネット広告の世界は、ただ“知ってもらう”ための手段から、“体験してもらう”“共感してもらう”ことを重視する方向へシフトしています。動画やSNSを活用したストーリーテリング型の広告インフルエンサーやお客様の声を取り入れたリアルな表現など、企業と顧客の間の距離を縮めるアプローチが今後さらに効果を発揮するでしょう。


2024年のデータは、広告の中心がインターネットに移行していることを明確に示しています。今後は「何を伝えるか」だけでなく、「どのように届けるか」「どう体験してもらうか」が問われます。

私たちも常に変化する広告環境を捉えながら、時代と人の心に響く広告戦略を提案・実行していきたいと考えています。

ストーリング型の広告とは

ストーリーテリング型の広告とは、「商品やサービスの機能や価格」を伝えるのではなく、物語(ストーリー)を通じて共感や感情を引き出す広告手法です。見る人が登場人物の気持ちに共感したり、自分ごととして感じることで、ブランドへの好感度や記憶への定着が高まります。


ストーリーテリング広告の特徴

  • 感情に訴える(喜び・驚き・涙・共感)
  • 商品やブランドは“脇役”として自然に登場
  • シーンや人物の変化で「気づき」や「感動」を与える
  • 最後にブランドの価値観や理念が伝わる

🎥 具体例

1. 感動型ストーリー:「絆」や「家族愛」を描く(例:サントリー「上を向いて歩こう」)

  • 【概要】震災後の東北を舞台に、ある家族の復興までの道のりを描いたシリーズCM。
  • 【ポイント】商品名は最後にほんの少し出るだけで、メインはストーリー。視聴者は自然に好感を持ち、ブランドを「応援したくなる」気持ちになる。

2. 日常の変化を描くストーリー(例:Apple「The Underdogs」)

  • 【概要】オフィスの中で奮闘するチームがApple製品を活用してアイデアを実現していく物語。
  • 【ポイント】仕事に悩む人々の共感を得ながら、製品の便利さや強みを“説明せずに伝える”。

3. 地方密着型の物語(例:JR東日本「行くぜ、東北。」)

  • 【概要】地方の風景や人々との触れ合いを描き、旅の魅力を感情的に訴求するシリーズ。
  • 【ポイント】商品は「電車」だけど、広告は“体験”や“記憶”を呼び起こす構成に。

4. BtoB向けでも有効(例:ヤマト運輸「ネコの目」シリーズ)

  • 【概要】物流現場で働く人々の一日を追いながら、業務の裏側を描いたドキュメンタリー調CM。
  • 【ポイント】BtoB業種でも、働く人に焦点を当てることで「人の温度」が伝わる。

💡 なぜ今、ストーリーテリング型が効果的なのか?

  • 単なる「情報」はスルーされやすい時代
  • SNSで「共感」が拡散されやすい
  • YouTubeやTikTokなどで「長めの視聴時間」が得られる
  • ブランドへの信頼感を深め、ロイヤルユーザー化しやすい

ストーリーテリング型広告は、「人の心を動かすこと」を目的とした広告です。中小企業や地域ビジネスにおいても、自社やお客様のリアルなストーリーを丁寧に掘り起こし、広告として発信することで、広告効果以上の信頼やつながりを生むことができます。

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